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「アイツもさっき同じようなこと言ってたけど、それってそんなに重要なこと?」
「重要なことですよ!!」
「なにが?」
「だって、付き合ってる人の親族にライバル社で働いている人がいるなんて……」
私たちが住む
地域にはふたつのバス会社があって
私も
詳しいことは
よく分からないけれど
同じ生業の会社が近場にあると
乗客の取り合いとか色々とあるんだと思う。
「ただ、好きになった人の家族が同じ地域で働く同業者ってだけだろ?」
「そんな簡単な話じゃ」
「ちなみに俺は、ひかりの父親が同業者ってこと会社の人に言ったけど特に周りはなにも言わなかったぞ?」
「……え、うそ?」
「本当。だからお前が何をごちゃごちゃと考えてるのか知らないけど、たかが平の俺が誰と結婚しようが会社的にはなんの問題もないんだよ」
奏さんと
付き合ったその日
嬉しくて
幸せでたまらなかった反面
自分の父親の仕事を思い出した途端
幸せの
絶頂から一気に
どん底にでも落ちたような
そんな感覚に陥ったことを
今でも昨日のことのように覚えている。
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