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「……じゃあ私、奏さんと一緒にいてもいいんですか?」
ゆっくりと
顔を上げて奏さんを見れば
優しく
穏やかな表情を浮かべ
私の唇へと軽く触れるだけの
キスを落とし耳元で"当たり前"と甘く囁いた。
その瞬間
今まで我慢していた
涙のストッパーが外れ
瞳からは大粒の涙が一気に溢れ出した。
「泣き虫」
「だ、だって、私、私っ」
せっかく
手に入れたこの幸せを
絶対に失いたくなくて、必死で
「ばーか。俺のお前への愛なめんなよ?そんなことくらいでひかりのこと手放したりなんかしない」
私って
本当にばかだ……
隠し事なんてせずに
最初から奏さんに伝えてれば
こんなにも辛くて
苦しい思いをしなくてすんだのに……
「言っただろ?ひかりのこと、逃がさないって。だから、お前は安心して俺に愛されてればいいの、わかったか?」
そう
言いながら
ゆっくりと私に
近づいてくる奏さんの整った顔。
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