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「……私、奏さんの制服姿好きです」
「いきなりなに?」
「あんなに大きなバスを自由自在に操って運転している奏さんが好きです」
「そりゃあ、どーも」
「たまに意地悪だけど、普段は甘やかしすぎってくらいに優しい奏さんが好きです」
急に
私が始めた
奏さんの好きなところを
1つ1つ挙げて言っているのを
最初こそは
驚きの表情で見ていたけれど
次第に私の話を真剣に聞いてくれだした。
「大きくてあたたかい手。抱きしめられると落ち着く体温、香りが好きです」
次から次へと
浮かび上がってくる
奏さんの
好きなことろは止まるどころか
むしろ反対にあれもこれもと思い浮かんでくる。
「好きです」
「ありがとう」
……違う。
私が聞きたいのは
お礼の言葉ではなくもっと他の言葉。
「……奏さんは?」
「ん?」
「……もうっ、わかってますよね!」
「さあ?」
私の
頭を撫でながら
悪戯な笑みを浮かべている
彼はわかっているのに
あえてわからないフリをして焦らしてくる。
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