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「聞きたいです……」 「言ってやってもいいけど、多分聞いたらひかり泣くぞ?」 「泣きません」 「本当?」 「はい」 いまだに 私の身体は彼に よって抱き上げられたままで いつもとは 違う角度から見る奏さんの顔と 彼の言葉が待ち遠しくてドキドキがとまらない。 「仕方ないな」 意地悪全開な 表情と声でそう言いながら ゆっくりと 伸びてきた彼の手は 私の髪を耳にかけ 彼は甘く囁くように耳元である言葉を囁く。 その言葉を聞いた瞬間 彼の言ったとおり私の瞳からは涙が溢れ出した。 「ほらな。ひかりは泣くって言ったろ?」 「だ、だって」 今のはずるい…… このタイミングで、言うなんて…… 涙を 拭いながら 彼が言ってくれた言葉の余韻に 浸っているとさらに拍車をかけるかのように 「愛してる」 射抜くような瞳で真っ直ぐと私を見て 彼は再び私へと素敵な言葉のプレゼントをくれた。 .
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