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「あー、早くオフにならないかな」 そう 呟きながら 奏さんは私のことを 抱きしめる腕にグッと力を込めた。 「そしたら、ひかりを本当に俺だけのひかりにできるのに」 「今も奏さんだけの私ですよ?」 私の 心も身体もすべて もうとっくの昔から奏さんだけ…… 他の人が入る余地がないくらいに 私のすべては奏さんでいっぱいに埋め尽くされている。 「……足りないよ、全然足りない。早くひかりと籍を入れて夫婦になって家族になりたい」 まるで 子供のように駄々をこねる 奏さんがたまらなく可愛くて愛おしくて どれだけ 奏さんと 過ごす時間が増えても 奏さんを好きだと 自覚したあの日から変わらずに 彼の行動ひとつひとつに 胸が高鳴り好きの気持ちが増していく。 「……私も」 「ん?」 「私も、早く奏さんを私だけの運転手さんにしたいです。」 「ははは、そっち?なに、もしかして俺のこと貸し切る気?」 「……はい、貸し切ります。それも、奏さんの残りの人生すべての時間を。いいですか?」 .
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