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日産キューブ。二〇〇二年から発売されたその二代目はZ11と型式で呼ばれている。
愛知県名古屋市。
ここに一人、まだ免許すらない車好きがいた。桜舞春音。
……そう、この作品は作者の妄想を綴りつつ超・妄想コンテストに出すために書いたものである。
今日はエイプリルフール。何かの手違いで未来からドラえもんが来たりしないだろうか。もし来てくれたらもしもボックスで運転できる世界線をつくるのにな。
うちのキューブをはやく運転したい。日々乗れば乗るほど、"乗り"たくなる。キューブ以外にも好きな車はたくさんある。ハスラーにラパンにエスクードにスペーシアベースにワゴンRスマイル、MAZDA2、日産キャラバンその他大勢。だけど、生まれてからずっと一緒にいたこのキューブだけは特別。
納車二〇年、走行距離五六〇〇〇㌔。免許取り立てで運転するのはこれと決めている。
春音は駐車場へ向かった。
淫雨が晴れた街はのどかに風を浴びている。
キーを取り出し、押しすぎて印字の消えたボタンでロックを解く。グリップ式のドアハンドルを引き、車に乗り込んだ。
エンジンを止めたまま、運転席に滑り込んでウレタンのステアリングを握った。
メーターは左が速度計、右がタコメーター。超低回転型のエンジンだで、三〇〇〇rpm以上回ることは少ないが、よく吹けるエンジン。
春音は妄想をスタート。あまねく創作活動も妄想からスタートする春音にとってくだらぬ空想は天職といえよう。
まずは家を出て、県道二一五号に合流する。引山、茶屋ヶ坂を抜けて古出来まで下ると、右折して環状線から大曽根、国道一九号へ出た。
そのまま北上したり戻ったり、いつも自転車で走っている道を思い浮かべる。
にやにや。
キューブのエンジン音、タイヤが跳ねる感覚、ウインカーの音。すべて思い浮かべる。楽しい。それだけで心が豊かになる。
春音はキューブを降りた。
柔らかいデザインの四角い車。
はたから見れば、ただの古いコンパクトカーだけど、春音にとって、ユーザーにとってはかけがえのないもの。それこそが"愛車"。
まだスマートキーですらない、鍵付きのキーのボタンで施錠する。ガコッと施錠音が響いた。普通免許取得可能年齢まであと三年。それまで壊れずに走ってくれよ。
玄関へむきなおる春音の背中に、こころなしか嬉しそうな車が映っていた。
完
みなさまこんにちわ!桜舞春音です。
みなさまには愛車はございますか?黄砂と花粉が過ぎ去ったら、ぜひ洗車してあげてくださいね😊
車好きの方、鈴菌の方(笑)、ドライブに行きたくなった方、いらっしゃったら嬉しいです(^^♪
作者 桜舞春音
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