次へ

1/1

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

次へ

白浜公園に夜の風が吹いた。ひゅうひゅうと風の音が聞こえてきそうな程に辺りは静まりかえっている。 あれほど騒がしかったのが嘘の様だ。 しかし、夜は夜で月明かりに照らされた桜の木はとなって、私達にまた別の顔を見せてくれる。 通りすがる人も、「これは見事。」と言う他ない程の。 きっと桜は散るまでずっとで居続けるのだ。 ただ、これを見た者は皆口を揃えて言う。 「でも、来週には散ってしまうな。」と。 そう、桜の花はすぐに散ってしまうのだ。 華々しく咲いて去り際もわきまえている。 まるで、次の季節へ主役を譲る様に。 だから桜は(とうと)く、愛されるのだ。 そして来年、またみんなと元気で会えるように蕾は長い長い眠りについてその時を待つ。 公園の地面、一面に散った桜の花びらを見て誰かが言った。 まるで、白い砂浜の様だと。 春が終われば、また暑い夏が来る。 白い砂浜と青い海が輝く、次の季節へバトンは渡っていく。 おわり
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加