何じゃ

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 すぐに店内で仕事を再開したのだが、彼はこの店の需要は増え続けているのを知っていた。  不景気が影響しているという人はいた。百円均一ショップは彼が好きな店で子供のころから来ていた。なぜか子供の利用客は少ないような気はした。それでも子供の姿はあった。  最近は子供の利用客は増えたような気がする。小学校に入っていないような子供が親と一緒に来ていたりする。少し昔は若者が多かったような気はした。 「これいくらだ?」学生時代に百円均一ショップで友達に聞いたら笑われてしまった。 「当たり前だよ」と言われてもわからないのだ。  彼はエイプリルフールに嘘をついたことはなかったなと過去を振り返った。 「嘘はいけない」両親に二、三歳のころからしつけられた。  彼は嘘をつく気にならないのであった。 「エイプリルフールだって嘘に変わりはないよな」と仕事からの帰り道に彼は恋人とやり取りした。 「特別な日でしょ」 「そんなこと言われても怒る人はいるのかもしれないな」 「内容によるのよ」 「それもそうだな」 「じゃあここでさようなら」  彼に恋人はあいさつして彼の進む道と別の道を歩きはじめたのだ。  エイプリルフールもつく嘘によっては楽しいものなのだな、とも考えたが彼は嘘の告白を後悔したのであった。  この世の中は言う言葉の内容によって人からの評価は、かなり違うものなのだなと彼は反省したのだ。彼の心の中でそうした気づきは生まれた。                       (了)
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