3人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「よぉ、春風。何してるんだ?」
そこにはクラスメイトの高橋がいた。よりによってこんな時に、最悪の人間に見られてしまった。
「さっきから一人でコソコソ何してんだよ、気持ち悪ぃな」
彼は吐き捨てるように言った。どうやら彼にはさくらっちが見えていないらしい。
「別にいいだろ? 高橋には関係ないことだ」
「なんだよ、その態度」
彼は少し苛立った様子だった。
「悪いけど、今忙しいんだ」
「何だよ、生意気な……あれ? どうして焼きそばが二つあるんだ?」
「関係ないだろ」
「いや、あるね。俺いま腹減ってるんだ。それよこせ」
「だめだ。これは渡せない」
「……チッ」
彼は諦めたようで、その場を後にした……かに思えた。
突然後頭部に強い衝撃を受け、ぼくは地面に倒れ込んだ。
「だっ大丈夫か?」
さくらっちが慌ててそばに駆け寄ってくる。視界がグラついてる状態で、頭上から声が降ってきた。
「これ、もらっていくぜ?」
そう言った高橋は、コンビニのビニール袋ごと焼きそばを持ち去ろうとした。
「ふざけんな! 返せよ!!」
ぼくはすぐに起き上がって、彼につかみかかった。しかし残念ながら返り討ちにあい、意識を手放してしまったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!