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ハッピーバースデー
5月生まれの私の誕生日は、雲ひとつなく晴れていた。暑くなく寒くなく、
「いい季節に生まれたのよ」
母はよく言っていた。
私が生まれ育ったのは、海からもほど近い、よく風の吹く街だった。
年間通して晴天の多い、明るい街。
佐藤紅(こう)、今日から19歳、女の子。
先月入学した大学にも少し慣れて、友達もできた。
誕生日なんだ、と言うと、えっ、じゃあケーキおごる!って言ってくれる優しい友達、由子ちゃん。
講義が終わった後、大学の近くのカフェでケーキをごちそうになった。
「紅ちゃんって夜は出れないんだよねー、一緒に飲みたいのになー」
まだ20歳前なのに、由子ちゃんはもうお酒を飲んでいるらしい。
「うーん、うち門限が厳しいんだよねー」
モンブランケーキを完食して、ストレートのアイスティーを飲み干して、水を一口飲んで、ごちそうさま、ありがとう、とお礼を言うと、由子ちゃんは、
「どういたしまして。おめでとう、紅ちゃん」
と微笑んだ。
ふんわりと優しい笑顔。20歳前でお酒を飲んでいるからって、決して悪い子じゃない。むしろいい子。
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