由子ちゃんとバーで

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由子ちゃんとバーで

 私の気持ちが安定して、宏明さんとできるようになったら、由子ちゃんにこれまでの色々なことを話したくなった。 「高橋くんが、連絡とれなくなったって心配してるよ、2人、何かあった?」  心配してくれてたけど、宏明さんとの関係が安定するまでは、先行きが不安で話す気にならなくて、お茶を濁していた。  由子ちゃんと飲みに行っていい?と聞くと、飲み過ぎるなよ、帰りは迎えに行くから連絡して、と送り出してくれた。  由子ちゃんが連れて行ってくれたのは、バーだった。  居酒屋とかじゃないんだ、と意外だった。  由子ちゃんは、 「このお店、父の後輩がオーナーなの。ここ以外では飲むなって言われてる。バーテンさんに、お酒は度数の低いのを1杯だけ、って指示が出ててね。まあ、20歳までは仕方ないよね」 と苦笑した。  早い時間だったから、お店には他のお客さんはいなかった。  カウンターだけのバー。  初めて入ったけど、照明は暗めに落としてあるのに、キラキラしていた。 「モモタさん、こちら友達の紅ちゃん。私と同じ19歳だから、1杯だけね。今日はー……カルアミルクにしようかな。紅ちゃんお酒初めてだから」 「承知しました」  モモタさん、と呼ばれたバーテンさんは、グラスを2つ出して準備を始めた。  私は由子ちゃんに、これまでのことや私のことをみんな話した。  時間はかかったけど、由子ちゃんはじっくり耳を傾けてくれた。  私の環境を話した上で高橋くんの言葉を伝えたら、由子ちゃんはキレた。 「あの男……何を勝手なこと言ってくれちゃってんの。 いい加減にしとけよ、コラ」  あの時みたいにドスのきいた声で、怒りをあらわにしてくれたので、私はそれに救われた。 「紅ちゃん、高橋くんに引っかからなくて良かった。もう放っておいていいよ。私も放っておく」  
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