由子ちゃんとバーで

2/2
前へ
/87ページ
次へ
 初めて飲んだカルアミルクは、甘くて美味しかった。 「これお酒ですか?美味しい!」  モモタさんに言うと、 「ありがとうございます、今日は初めてってことなんで、気持ち甘めでアルコール低めにしてあります」 と微笑んだ。  由子ちゃんは、実はね、と打ち明けてくれた。 「私のとこも、ちょっと複雑なの。母はいわゆる愛人でね、私も弟も認知はされてるけど、父にとってはウチは2番目ってわけ」  私はとても驚いて、 「えー、全然わからなかった!由子ちゃん明るいから!」 と言ったら、 「私、ネアカなんだよねー、メソメソクヨクヨって性に合わないのよ!」 って笑った。 「お金には困ってないけどさ、それだけでオールオッケーかって聞かれたら、そうでもないよねー。 ……だから、紅ちゃんの気持ち、少しだけはわかるつもり。次に何かあったら、私を頼ってよね」 「ねえ、早速頼りたいんだけど、他人とは言え戸籍上は叔父にあたる人と、19歳も年の離れた人と結ばれたこと、いいのかな」 ふと漏らしたら、 「紅ちゃん、人生は短いんだよ。愛し合ってる2人が離れたら時間のムダよ。戸籍や他人の目なんてどうでもいいから、たくさん幸せにならなきゃ。 年の差?激しくどうでもいいわ。栄養たくさんとらせて、長生きさせなさいよ。そんで紅ちゃんが太く短く生きたら、それで帳尻合うじゃない」 威勢よく返してくれた。  なんて肝のすわった人だろう。  由子ちゃんとは、ずっと友達でいられたらいいな、できるだけ大事にしよう、と決めた。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加