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「あいつらにはこの数年で何件も縁談話が出ていてな。漸く良い返事を貰えそうになっていたんだ。それが昨日の一件があって、今朝早くに二人して断りにきた。これがどう言う事か分かるか? 玲喜」
「えーと、つまり……」
「お前を諦める気が無くなったと宣戦布告までしていったな」
殺してやろうか、と言った小さな声は聞こえなかった振りをした。
腰に回されている腕に力が籠った気がして、ゼリゼから逃れようとしたがアッサリと横抱きにされてしまう。
そのままベッドまで移動され、上に放られた。すぐに覆い被さってきたゼリゼにニッコリと微笑まれる。
「それで? あと何人孕む? それとも本当にずっと孕んだままにしとくか?」
勘弁してほしい。玲喜は条件反射の如く口を開いた。
「ひ、ひとり」
「五人」
「せめて……二人にしてくれ」
「もう一声だ」
「…………三、人」
「それで良い」
意気消沈。
全く譲ろうとしないゼリゼに根負けしたのは、言わずもがな玲喜だ。
先程まで、ちょっと良い話をしていたというのに、嫌な大どんでん返しである。
「その前にお前を俺から離れられないようにする為に、隅々まで開発してからだな。先程の触手で〝奥〟はもう開いて来ているだろう?」
「お、奥?」
冷や汗と悪寒が止まらない。生理的な震えで身を震わせると、首元に口付けられた。
「玲喜。高みから降りてこられない快感を覚えさせてやろう」
絡んだゼリゼの目はちっとも笑っていなかった。
「ンあ、ア、ァッ、ん、ああっ、あーーー!! ゼリゼ、これ……駄目っだ、や、ぁっ、ああ、ン、あああーーーッッ!!」
いつまで経っても本当に絶頂から降りてこられなくて、玲喜は鳴かされて泣かされっぱなしだった。
普段トロトロに蕩けさせられていた性行為が可愛く思えるくらいに、翻弄させられている。どれだけ手加減されていたのかも身をもって思い知った瞬間でもあった。
「ゼリゼ~、ゼリゼ~」
またイきそうになって腰に力を入れると、精液とは別の液体が飛ぶ。
「上手に潮も噴けたな」
「は、んっんぅあああッん、あーーー!」
ゼリゼの言葉に返事も出来ない程、思考回路ごと飛んで頭の中でまた火花が散った。
——こんなん、バカになる。
興奮し過ぎて鼻血が出そうだ。
体位を変えられて、体をひっくり返された。一度抜かれた陰茎を一気に奥まで押し込まれると「ひっ」と悲鳴が出て思わず上に移動する。
「こら、逃げるな」
両側から腰を掴まれて引き戻された。
散々中に出された精液が、律動される度にパチュパチュと卑猥な音を立てていく。
「ゃ、ァっあああ、あッん、んーー!」
「出し過ぎてツライか?」
コクコクと頷くと、何故かゼリゼに陰茎を掴まれた。
「ゼリ……っゼ?」
「ここも教えてやらんとな」
不敵に微笑まれるともう嫌な予感しかしなかったが、抗う程の力も入らなくて結局されるがままになってしまう。
何かが尿道に潜り込んでいき、奥まで行くと止まった。
しかし問題はそこからだった。
「まだ飛ぶなよ、玲喜」
思うままに抽挿を繰り返され、尿道の中と後孔から前立腺を刺激されてしまい、玲喜はあまりの快感に声もなく瞼を閉じた。
「玲喜。玲喜、戻って来い」
やっている事はえげつない癖に、声音だけは優しかった。
「ゼリゼ、ゼリゼ……っ、もう無理」
「嫌、まだだ」
「や、嫌だ……っ、もう……ッ気持ちいーのいらなっ」
「ここ数年お預けされる事が多かったからな、俺は物足りん」
足を閉じられ、寝バックの体勢を取らされる。最後の仕上げと言わんばかりにめちゃくちゃに腰を振られ、玲喜は甲高い声に近い嬌声を上げた。
「ふッあ、ぁああん、あ、ああーーっっ!」
己の腹とシーツに擦られた陰茎と、前立腺を内部の両側からも刺激され、最奥を貫かれる。
背中に口付けられ、ゼリゼの歯が皮膚に食い込んだ。
「く……っ」
全身を硬直させると内部でゼリゼの欲が弾け、玲喜は霞んでいく意識と一緒に四肢の力を抜いた。
***
今まで知らなかった快感という名の快感全てを一度に教えられた玲喜はその後散々だった。
毎晩のように同じ事を繰り返されている内に、少しずつ妙な変化が現れるようになっている。
「ひっ、ぅ~~」
突然妙な声を上げて玲喜が踞った。
ビクビクと体を震わせて泣きそうな顔で耳まで真っ赤にしている。
ほんの少し、椅子に腰を打ちつけただけだというのに。
「~~っ!」
懸命に声は押し殺しているものの、甘ったるい吐息がもれているのは明白だった。
「「「「…………」」」」
会議中に気まずい空気が流れる。
ゼリゼからの快楽責めののちに、玲喜は外からの刺激だけで中イキする体になってしまっていた。
顔を隠すために魔法で一気に髪を伸ばしはしたものの、髪如きで隠せるものではなかった。
玲喜はどちらかと言えば健康優良児という言葉をそのまま体現させたような体だったのに、最近はやたら色香を放って艶かしい。
それは王宮に住む全員が感じ取っていた。
「なんか~最近玲喜がやたらエロいんだけど~何で? 顔を隠すように魔法で髪も伸ばしちゃうしさ~。ねえ、何で?」
じっとりとしたジリルの目がゼリゼに向けられている。そんな中で玲喜は羞恥に耐えていた。
「……」
ゼリゼとしてもこれは想定外で、まさかここまで玲喜の体が仕込まれ仕上げられるとは思ってもみなかったのである。
こんな玲喜の姿は誰にも見せたくない反面、周りに対して「玲喜は俺のだ、ざまぁみろ」と言った気持ちが混ざり合う。
否、顔はニヤけていた。
「ゼリゼ様、少しお話しがあるのですが?」
どこまでも玲喜の味方であるラルの顔は引き攣っている。「一体玲喜に何してくれてんだ? ああ!?」と書かれているが透けて見えた。
「玲喜の体を俺仕様に仕込んだから当然だ。その内慣れると治まるだろう」
あっけらかんと全員に向けて言い放ったゼリゼを見て、玲喜は怒りに震えた。
「ゼリゼなんて……知らん!!」
皆の前で暴露されたのが恥ずかし過ぎて、玲喜は転移魔法でその場から姿を消した。
玲喜は怒っている。
今までかつてない程に怒っていた。
即座に王宮から離れた所に、即席で高い塔を建てる。
出入り口は全て封鎖。
誰も入って来れないようにされた塔に籠城した玲喜を見て、さすがのゼリゼも慌てた。
「玲喜! 謝るから降りて来い!」
「……」
無視。
「玲喜!」
無視。
唯一あるてっぺんの小窓から髪の毛が垂らされる事は勿論ない。
「あ~あ、玲喜怒っちゃった」
南山不落ともいえる要塞並みの塔から返事が来るまで、暫くの間甲斐甲斐しく通い続けるゼリゼの姿があった。
【終わる】
閲覧くださった方々ありがとうございました!!
番外編ではまるでラプン◯ェルツェルな玲喜の元へ通うゼリゼ……頑張って欲しいものです。
また別の作品でも会えたり&感想などいただけましたら嬉しいです。
鳴島佑日
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