奇妙なメモ(仮)

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私は探し物を見つけた。ちなみに探し物というのは実家の蔵の鍵である。大きくてゴツゴツとしたその鍵はすぐに見つかった。生前父はこの蔵の鍵を一人で管理していた。おそらく皆島家(父の家系)の財産として自分で持っておきたかったのだろう。いや、持っておきたかったというより妻や子などの「他人」に渡すのが嫌だったのかもしれない。 その蔵を父が亡くなった今、息子である私が管理しなければいけないと思い、回収しにきたのだ。 蔵の中には幼い頃イタズラで父の部屋から鍵を持ち出し何回か入ったことがあるが、それが父にバレ、二、三回頬をぶたれたのを覚えている。今となってはそれも父とのいい思い出なのかもしれない。 よし、鍵も見つかった事だし、帰ろう。 私はその小屋から出る直前に机の方へと向かい、さっと、父の遺作をポッケに入れた。
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