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遺作の続きは意外にも早く読むことができた。
この奇妙なメモに書いてある「参考資料」とやらが見つかったのだ。
それは父の遺品の鞄の中にファイリングされて入っていた。
ファイルの中にはB5サイズのメモが三枚ほど入っていた。参考資料と言うには少なすぎるのでは無いか?と少し思ったが、そんなことはどうでも良かった。早く遺作の続きが見たかった。このメモの中で父はまだ生きている気がするのだ。
私は自分の部屋で早速続きを見ることにした。
一枚目のメモは雑で誤字脱字の多い、元気の良いメモだった。
『
素ぶりをに百かい!。
も も あげ十かい!。
ランニンゲ 5めーーと る。
はし る!!。
きんとれをがんばる。
きゃっちゃーをがんばる。
』
私は少し拍子が抜けてしまった。
てっきりもっと興味深いものが書かれているのではと思っていたが、これじゃただの子供の落書きじゃ無いか。
しかも私はこのメモの作者を知っている。
それは私である。このメモは私が小さい頃、地域の少年野球チームに入っていた頃、監督に書かされた抱負だった。それをなぜ父が今まで持っていたのかはわからないが、こんな物を小説のアテに使うなんて正直がっかりだ。しかもなんだか恥ずかしい。
おそらく父はこの子供の心理状況などを解説するつもりだったのだろう。あ、父のメモに書いてあった「野球少年」とは私のことだったのか。
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