奇妙なメモ(仮)

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二枚目のメモは几帳面さが伝わるほど丁寧な字で書かれていた。 『出社 8時00分 (15分前に来ること)  朝礼→食品在庫のチェック  納品→検品(検修表と産地を照らし合わせる)  野菜下処理、三層シンク         →右から左へ綺麗にしていく  調理班 食札の確認をした後調味料チェック    洗浄担当は週でローテ(木曜は固定で2人)    メモ  ・声出し確認を必ずする  ・アレルギー対応コードを出勤後すぐに確認  ・コンベクション等の切り忘れチェック                      』 このメモの作者もすぐにわかった。 これはおそらく私の妹が書いた物だろう。私の妹は病院食の栄養士をしている。妹がその職場で新人の時に書いたメモを拡大コピーした物だろう。こう見ると妹の文体はどこか父に似ているところがあり、父のわずかな文才は妹に振り分けられたのだろうと思った。 父はこの綺麗なメモを先ほどの幼稚なメモと比較して読者を楽しませようとでもしたのだろうか、理由はどうであれ、私の恥ずかしい気持ちは妹のメモも出てきたこともあり、だんだんと懐かしい気持ちに変わっていった。 そんな気持ちで私は三枚目に目を通した。 そこには見覚えのないメモがあった。
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