櫻の下で咲く想い

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「この音なに?」 「ああ、ヒグラシ。セミだよ。もう夕方かねぇ」 「うん、夕焼けが見える。とっても綺麗!」  夕日に照らされた幻想的な(あかね)色の雲が、目の前に広がっていた。 「ばあちゃんはセミの中でもヒグラシが一番好き。アブラゼミやミンミンゼミも夏らしくていいけど、静けさの中に聞こえるカナカナっていう鳴き声が、風情があって落ち着くんだよ」  祖母は聴覚で季節を感じる人だ。
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