櫻の下で咲く想い

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「うん? いい香りがするね」  庭で、祖母が香りのする方へ顔を向ける。 「おばあちゃん、咲いてた! オレンジ色の小さい花……えっと、キンモクセイ?」 「そうだよ、美織。よく覚えてたね」  嬉しそうに、祖母が両手を合わせて小さく拍手をした。 「甘い香り……秋だねぇ、近くにキンモクセイに似た白っぽい花も咲いてない?」 「え? あ、咲いてるよ!」 「良かった。その花はギンモクセイ。キンモクセイと一緒におじいちゃんが植えてくれた大切な花だよ」  祖母は嗅覚で季節を感じる人だ。
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