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祖父と祖母は幼なじみでとても仲が良く、桜が咲いたら必ずお花見をしていたそうだ。
花見のときに食べる桜餅は、祖父がいつも買っていた思い出の店で買う。
満開の桜の下に、簡易テーブルと椅子を出して、祖母に座ってもらった。
桜餅を手に取り鼻先に近づけ、桜餅の香りを堪能し、ひと口かじる。それから緑茶を口にし、ふうっとため息をつく祖母が物思いにふける。
爽やかな風を感じ、鳥のさえずりを聞き、桜餅の香りと味を楽しみながら、祖母の脳裏に浮かんでいるのは、きっと祖父との思い出の桜なのだろう。
おばあちゃんの記憶の中のお花見はどんな風が吹いて、どんな鳥の声が聞こえてたの? おじいちゃんと桜餅を食べながら、晩ご飯には土筆のつくだ煮を食べましょう、なんて話してたのかな。
「気持ちいいねえ」
幸せそうな表情の祖母の肩に手を置いて、私は桜を見上げる。そして、はらはらと舞い落ちる花びらに、また来年も綺麗な花を咲かせてねと祈るのだ。
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