語り部×親友×最恐

3/4
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
心どうが不満げに言う。だが俺には見える。 頼られて喜んでいる心どうの心の中が。 あ、これも実は俺は透視が出来るとか、エスパーだからとかではなく、親友の心のうちがわかる、という程度の意味合いだ。 「そうなんだよー。二人に頼めない?」 「私放課後は残れないよ。店に出たいし」 「そのために今、宿題終わらせてるとこだ」 心どう茶屋は心どうの祖父母、旦那と女将の二人で切り盛りしている。 帰宅したらすぐに店番を交代したい心どうは、学校にいる間に宿題を終わらせるのが常だった。 俺はその付き合いで宿題をやっている。 「あー、そっか。今日多かったもんな。じゃあ今日はいいわ。邪魔して悪かったな」 「後日もお前に付き合えるかわかんねえぞ?」 俺が斜めに遠野を見上げると、「んー」とうなった。 「とりあえず会長捕獲してくるよ。じゃあまたな」 そう言って心どうの左頬に手を添えた遠野は、そのままこめかみに唇を落とした。 ちゅ、という音を立てて、すぐに離れていく。 「じゃなー」 それこそ爽やかに去っていく遠野。 顔を真っ赤にさせて固まる心どう。 注目してくる同級生たち。 遠野が生徒会室に行くために階段を上り始めたとき、一斉に「キャー!」と「ギャー!」という声が沸き上がった。 「なにあれカッコいいー!」 「あたしもしてほしい~!」 「くっそ遠野カッコつき過ぎだろ!」 「イケメンだから似合うこと過ぎるわ!」 ……とまあ、心どうと遠野のことは割と学年公認というか、心どうも嫌がらせをされたりはしていない。 俺もさっさと付き合えよ、と思う毎日。 だってこいつら、こんなんしてても付き合ってないんだからな。意味わかんね。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!