親友が俺受けの人外凌辱本を作っているんだが……?

5/12

97人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
 名案だと言わんばかりに期待の入り混じった顔で二人から見つめられ、律希は弾かれたように走り出そうとした。  だが読んでいたかのような俊敏さで、背後から羽交い締めにされ部屋の中に押し込まれる。  ——おい、誉……いつもの怠慢な動作はどうした? そんな機敏に動けたんか!? 「誉……っ、今離せば許してもいい。だから帰らせて!?」 「だーめ。律希ぃ、今日もうちでお泊まりして行きなよ。恋人でしょ、俺ら。おばちゃんには俺が電話かけとくからさ」  やたら甘ったるい声で誉に囁かれた。 「ひっ」  首元に顔を埋められて鳥肌が立った。 「だからっ、俺は女の子が好きなんだよ! それにいくら誉だろうと友人から恋人になる事はない!」 「突き合ってみなきゃ分かんねーだろ。体の相性良いかもしれんしな。ま、俺はバリタチだから突く側だ。とりあえず律希、靴脱いでベッドの上で話しようぜ」 「それ絶対つきあうの漢字が違うだろ! 秀までそんな残念な頭だとは思わなかった! 俺は帰るって言ってんだろ。やめろ。靴脱がせんな。離せーーーっ!!」  あの同人誌のような展開になってたまるかと、律希は力の限り暴れて抵抗しまくった。  昔から体を張って二人の喧嘩を良く止めていたのもあって、律希の体術も中々の腕前になっている。  ただ、二人も本気だった。  普段と眼光の鋭さが違う。  エロがかかっているとこうも変わるものなのか? 己の欲求に忠実過ぎやせんか!?  今じゃなくて、日常生活で発揮して欲しいものだ。  掴まれた腕を引き抜いて、誉に蹴りを入れる。 「もう! 律希大人しくして!」 「男としての尊厳かかってんだよ! 大人しくするわけねえだろ!」  背後から秀に腕を捻り上げられそうになって、同じ向きに体を回転させてから足を振り回す。 「ちっ、ラチあかねえな」  蹴って殴りまくる。  暫くの間攻防戦を繰り返していると、誉がスーツのネクタイを取り出してきてとうとう両手を縛られた。  一人相手でもしんどかったのに、二対一はキツい。  手を戒められてから呆気なくベッドの上に転がされてしまう。  太ももの上に秀に乗られ、律希は暴れまくったせいで荒くなった息を吐き出して、肩で呼吸を整えた。  万事休すである。 「わー、息乱すリアル律希めっちゃエローい。バイブ突っ込んで一日中放置してみたい」  ——やめろ……。  ここで諦めたら男としての普通の道までもが断たれてしまうこと必至。何とかしなきゃと頭をフル回転させる。一纏めにされた腕で顔を隠して、言った。 「も……最低。お前らなんか……嫌い」  弱々しい声音になるように言った。  我ながらキモい。  演技力の無さに泣けてきて顔を隠したままでいると、バカ二人がやたら静かなのに気がついて腕を退けた。  二人は俯いたまま微動だにしなくなっている。  ——効いている……だと!?  心の中でガッツポーズを作ったのも束の間だった。 「「勃った」」  不穏な言葉が聞こえてきて、思わず瞑想しそうになってしまう。  ——しにたい……。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加