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遥か昔、長い長い戦争の末、人類はこの地球を壊滅状態に追いやった。
どこまでいっても、建物の残骸しかない、荒涼とした大地。
豊かだった水も緑も、今はもうほんのわずかしか残っておらず、動植物の大半が死に絶えてしまった。
生き残った数少ない人間たちも、地下シェルターでの生活を余儀なくされ、地上で過ごすにはいまだに防護スーツが必要だから、旅なんてする酔狂な人はほとんどいない。
「ねえ、ベンジー。今、あたしたちどのへんを歩いてるの?」
だけど、小さな頃から、17才になった今までずっと、あたしは、ひたすらに足を動かしている。
目指すは、東の果ての国。
『ソウデスネ……ハルカムカシノチズデハ、ウミダッタアタリ、カトオモワレマス』
ベンジーはロボットで、本当の名前はRA67201号。
RAっていうのは、Researcher・Assistantの略。
その名前の通り、父さんの研究を手伝っていたけど、今ではあたしの旅の相棒。
ちなみに、ベンジーって名前をつけたのは、父さんだ。
可愛くて呼びやすいから、あたしもベンジーって名前、結構好きなんだよね。
「もうすぐ夜になるから、あのあたりで休もっか」
『アイヨ』
かつては灯台だったらしきガレキのふもとに、あたしは携帯シェルターが入ったカプセルを投げつける。
一瞬で地下に続く扉が出現し、今晩の宿のできあがり。
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