東の果てでオハナミを

4/5
前へ
/5ページ
次へ
 翌朝、携帯シェルターをカプセルに戻して、あたしたちはまた歩きだす。 何日も何日も、歩いて休んで、またひたすら歩いて。 「ねえ、あたしたち、今、どこらへんにいるの?」 『エエト……ムカシノチズデ、ヒガシノハテノクニガ、アッタハズノバショニ、イマス』 あたしたちはついに、東の果ての国に足を踏み入れた。 だけど、見渡す限り、荒れ果てた大地があるだけ。 桜の木はおろか、緑のかけらさえ見当たらない。 「ベンジー、昔の地図データを映してくれる?」 『アイヨ』 ベンジーの胴体部分から光が放たれ、宇宙から撮影された昔の地図データが映し出される。 今、わたしたちがいるのは、赤い丸がついた場所。 南に進んだ先に、ピンク色の塊。 「たぶんこれ、桜の群生地だよね?」 『ソウダトオモワレマス』 「行ってみよう!」  半日歩いて、たどり着いたその場所には、焼け落ちたであろう木の残骸だけしかない。 だけど、あたしは見つけた。 ずっと奥の方に、たった1本だけ。 わずかに花をつけた、背の低い桜の木。 『ジュディ?』 背中の後ろから、ベンジーの怪訝そうな声が聞こえたけれど、あたしはかまわず走った。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加