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翌朝、携帯シェルターをカプセルに戻して、あたしたちはまた歩きだす。
何日も何日も、歩いて休んで、またひたすら歩いて。
「ねえ、あたしたち、今、どこらへんにいるの?」
『エエト……ムカシノチズデ、ヒガシノハテノクニガ、アッタハズノバショニ、イマス』
あたしたちはついに、東の果ての国に足を踏み入れた。
だけど、見渡す限り、荒れ果てた大地があるだけ。
桜の木はおろか、緑のかけらさえ見当たらない。
「ベンジー、昔の地図データを映してくれる?」
『アイヨ』
ベンジーの胴体部分から光が放たれ、宇宙から撮影された昔の地図データが映し出される。
今、わたしたちがいるのは、赤い丸がついた場所。
南に進んだ先に、ピンク色の塊。
「たぶんこれ、桜の群生地だよね?」
『ソウダトオモワレマス』
「行ってみよう!」
半日歩いて、たどり着いたその場所には、焼け落ちたであろう木の残骸だけしかない。
だけど、あたしは見つけた。
ずっと奥の方に、たった1本だけ。
わずかに花をつけた、背の低い桜の木。
『ジュディ?』
背中の後ろから、ベンジーの怪訝そうな声が聞こえたけれど、あたしはかまわず走った。
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