雨宿り

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 雨宿(アマヤドリ)という名の白い八重桜があると知ったのは、近くの川沿いの遊歩道を歩いている時だった。桜並木を行く人達は生気に満ちているのに、私はずっとため息をついている。ため息ばかりでごめんねと、まもなく出産予定のお腹を撫でた。  桜祭りに合わせて沢山の屋台が並び、良い香りが漂っていた。でも、今は宴会をする人達の賑やかさに疲れてしまって、美しいはずの桜がくすんで見えた。 「あら、あれも桜かしら。綺麗ね」 「確か、アマヤドリって品種らしいわよ」  すれ違い様に聞こえた女性達の言葉につられて土手下を見ると、運動場の脇の小さな公園に白い桜の木があった。前から団体が歩いて来るのを目にし、迷わず土手へ降りる階段を探した。  自動車の形をした遊具と滑り台があるだけの公園というには少し寂しい場所に目当ての桜の木があった。
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