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桜の木の下を探すこと一時間。やっと佐久間さんを見つけた。ふんわりとした明るい茶色のボブヘアーを芝生の上で広げて、腕枕をして寝ているんだと思った。
『ほんと・・・きれいだな』
切れ長の大きな瞳から涙が頬に伝っている。泣くななんて言えない。それに、僕は佐久間さんを知っているけれど、彼女からしたら、はじめましての大学一年生でしかない。
『泣いてるの?それとも花粉がヤバイの?』
花粉症がヤバくて泣いている
そんなありきたりな理由で近づくしかなくて、本当は、なにそれ~って笑ってほしかった。
けれど、佐久間さんは笑って吹き飛ばすほどのメンタルではなかったようで、必死に泣き笑いながらでた言葉は。
『キミは面白い人だね』
だった。
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