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「キミとはこれっきりだからいいのかもね」
佐久間さんに言われて切なくなった。見知らぬ僕だから打ち明けたんだとわかっているのに・・・・
「儚く散らないでください。半分になった日々でも桜は見れますよ!!」
桜のように美しく儚い佐久間さん。このままにしたら最悪を選ぶのかな?
僕が一目惚れした佐久間さんは、ゆるふわな雰囲気だけど、自信に満ちていて、それがカッコかわいい印象になのに。
「キミ、私の投稿見たの?あーいう投稿したらそう思うよね」
「そう思って走ってきたんです!!佐久間先輩を助けたくて」
ああ、見知らぬ関係が終わってしまったよ。
「同じ大学の一年生、紀平進です」
芝生で寝っ転がるのは終わりにして起き上がった僕は、手を上に伸ばしていた。
「紀平くん、何してるの?」
「桜の花びらを掴むと願いが叶うんですよ。佐久間先輩の未来が明るくなりますようにって」
佐久間先輩も起き上がって、ブッと笑う。
「暗い前提で話さないでよ。嫌だな紀平くん」
そうして、僕らは花見をしながら、桜の花びらを掴むことにした。
僕のTシャツと佐久間さんの肩が触れあって、重なった手のひらが同じ花びらを掴んでいた。
「紀平くんが先だから」
「佐久間先輩にあげます。約束しましょう?来年の春も花見友達でいるって」
一瞬だけだったけど、手のひらが重なりあってドキッとしたのは内緒だ。
「花見友達ね。よろしく紀平くん」
佐久間先輩の瞳はもう涙で潤んでなくて。
きれいな桜を見上げてから、僕に片手を差し出してくれた。
「よろしくお願いします。佐久間先輩!!」
桜の花びらがお互いの髪にヒラヒラと落ちて、お互いの頭の上の桜の花びらを掴んで。
「枚数が増えたんで願い叶いますよ!!佐久間先輩」
「ありがとね。紀平くん」
桜の花びらが髪につくおまじないの理由が、別にあると知ったのは。
三年後、僕が佐久間さんに、家族になろうと打ち明けたとき。
おわり
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