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「リナーっしー、何照らしてんだよ……そこに、誰も居ねーぞ」
「どこに目くっつけてんだよっ! ほら、思いっ切り居るじゃねーかっ! あっちから、ずーっとアタイ達を見てるだろ」
瞬き一つしない無表情の男性を指差し、リナはバカズへ教える。
しかし、やはりバカズには見えていないらしく、不思議そうに辺りを見渡していた。
そんなカズの様子から、リナは彼へある疑惑を抱く。
「さては、バカズ……あんた、まだアタイを怖がらせようとしてんだろ? 不気味な人間の、等身大人形を仕掛けて、それがアタイにしか見えていないかの様な演技か? それにしても、リアル過ぎて気持ち悪いぞあの人形……」
「何の話だよ……そんな人形、俺は持って来てねーぞ? 大体、等身大なんか、どう考えたって鞄に入らねーだろっ!」
確かに、そうだよな?
アタイにバレない様に、人間と同じサイズの人形なんて用意できる訳ねーか。
カズの言葉で、リナの心は徐々に恐怖に襲われていく。
それなら、アレは何なんだよっ!
「仕掛けじゃねーなら……やっぱ、イナズマ組の奴だろ?」
そうであれと願いながら、リナは永戸達へ聞いた。
「そもそも、そいつが全く見えない……」
ボソッと永戸がそう吐き出すと、「ああ、俺もだ」と菊谷も頷いた。
自分にしか見えない男性の存在に、リナはついにスレンダーな体を震わせた。
「大丈夫かよリナっしー」
カズにも無反応なリナへ、菊谷が呑気に話しかける。
「お前だけに、お化けが見えているんだな……危害を与えてくる訳では無さそうなら、友達になってみるのもいいかもしれないぞ」
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