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菊谷の言う通り、アレはこの世の者じゃねー。
全身があるのかも分からねーし、よく見たら頭の位置が高すぎる。
あんな背の人間、居る訳ねー。
アタイの苦手な男だらけな上に、本物の幽霊にまで遭遇するなんてな。
ていうか、ここで人死んでんのか?
男達と幽霊のダブルパンチで、リナは疲労がかなり溜まっていた。
「はあ……今日は、すっげー最悪な日だな」
二輪のタイヤが付いた白骨化した馬へ、リナとカズは乗せられた。
「な、何だよこれーっ! また幽霊か?」
リナの後ろに座っていたカズも、驚きの声を上げる。
「おかしな夢でも、見てる気分だ……生き物か乗り物なのか、何なのか全く分かんねー」
「こいつは、ゼロだ……良い奴だから、仲良くしてやれ」
骸骨馬について軽く紹介すると、永戸は二人へ伝える。
「よし、行くか……振り落とされない様に、しっかり掴まっとけよ」
「リナとカズッ! じゃあなーっ! また、いつか会おう」
大きく手を振る菊谷へ、カズは「今日はありがとうございました」と礼儀正しく感謝を口にした。
「確かに、今日はちょっとは世話になったけど……もう会ってたまるかーっ! こんな心霊の森、二度と行かねーよーっ!」
なかなか素直になれず、リナは荒々しく叫んだ。
そして、カズと共に、永戸のスケルトンホースバイクで、風の様な速さで死んだ森から飛び出していったのだった。
まあ、あんな事は言っちまったけど、全く楽しくなかったかと言われたら嘘になっちまうよ。
もし、また機会があったら、会ってやらない事も無い。
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