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葉が一枚すら付いていない木々を見渡し、リナは行きにカズが口にした言葉を思い出す。
カズの言う通り、ここには本当に枯れ木しかないな。
だから多分、「死んだ森」って訳か。
けど、この怪しい森でヤンキーグループが暮らしているっていうのは、信じられねーよ。
どこで聞いた噂か知らねーが、こんな何もねー所で人間が生きられる訳ないだろ。
こんなガセネタなんかを信じるなんて、間抜けかよあいつ。
もし、マジでここにヤンキー達が住んでたら、約束通り逆立ちで歩いてやるよっ!
携帯で時刻を確認すると、深夜の二時を回っており、リナは目を丸くさせた。
おいおい嘘だろーっ?
時間的にも、雰囲気出てきちまってんじゃねーかよっ!
「ヒィッ……なっ、何だこらーーっ!」
茂みがガサガサと揺れ、リナは震える拳を振り上げた。
だが、そこから出てきたのは、夜行性の狸らしき小動物だった。
ふんっ! アタイはヤンキーだっ!
だから、こんなのちっとも怖くなーいっ!
このくらいで、負けてたまるかーっ!
弱気にならない様にと心を奮い立たせるリナだが、やはり少し経つと不安が膨らんでいく。
やっべ。もしかして、アタイって道に迷っちまったのか?
だとしたら、かなり大変だっ!
下手したら、一生ここから出られなくなっちまうよーっ!
「んっ? ……バカズ?」
どこからかふと視線を感じ、リナはその方向へ小さな顔を向けた。
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