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「……はっ? 勘違いすんなっ! あいつは、ダチじゃねーっての。バカズは男……多分、まだこの森に居るはずだ。あいつの説明は、これくらいしか出来ねーよ」
リナのこのいい加減な受け答えには、流石の菊谷も困った様子だ。
しかし、彼女がそれ以上カズについて話す気が無い為、僅かな情報だけで捜索を開始したのだった。
「なあ……あんたはどうして、木の上なんかに登ってたんだ? こんな時間に、組のボスが何してんだよ」
茂みや前方をライトで照らしながら、リナが素直な質問をした。
「俺か? 俺は皆と、かくれんぼだ」
菊谷のその一言に、リナは酷く呆れた。
「いや、お前の方がガキじゃねーかよっ! 皆って……他のメンバーもかいっ! バカズは見当たらねーけど……バカは居たな」
「お前の探している、そのバカズって奴だが……名前に、バカって入っているなんて珍しいな。親も意地悪なものだ……ちょっと可哀想だよな」
「はっ? 何言ってんだよあんた……それは、アタイがそう呼んでるだけだっ……本名な訳ねーだろ?」
まさか、世の中にこれほどの馬鹿が居たとはな。
バカズを遥かに超える、真の馬鹿じゃねーかよ。
後、最初から思っていたけど、変人すぎるだろっ!
まあ、悪い奴ではなさそうだけどな。
リナの菊谷への警戒心は、徐々に解けつつあった。
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