恋のゆくえ

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キラキラ集団とはかけ離れたところで、1人…川に手をつける女……私。 大奥メンバーたちは裸足になって、写真を撮りあっている。 私はひとりっ子ってこともあるのか、1人遊びが昔から好きで…。 よく近所の川辺に来ては、石切りや石探しをしていたっけ。 川の水、透きとおっていて綺麗だ。 目をつむると、川のせせらぎが聞こえてくる。 「はうぅ…癒される」 「おい。1人でなにやってんだ」 若者姿の郡司部長が近づいてくる。 「みんな先に行ってるぞ」 気がつくと、みんな移動をしはじめていた。 松村係長はというと、柏木くんと肩を並べて歩いていた。 (私、忘れられてる…!) 「ほら、早く行くぞ」 「は、はい」 私は急いで立ち上がる。 そのとき、何かが足首に触れた。 うねうねと細長い…ヌメヌメとしたやつ。 「うっぎゃああああ!! 蛇~っ!!」 混乱してその場でたたらを踏んで、川のなかに尻もちをついてしまった。 じわじわと下着に水が浸透してくる。 そばにはヌメヌメが……まだいて。 「うぎゃあああああ!!」 私は再び悲鳴をあげた。 「落ち着け!」 郡司部長が、腕を差し出してくれる。 「蛇だけはっ。蛇だけはダメなんですっ!!」 トキメく要素なんて1つもないのに、蛇を見て、手がじゅうじゅうと熱くなっている。 「私の手、触っちゃだめです~。いま熱いんです~」 「そうはいっても、お前……」 蛇はなかなか私のそばを離れようとせず。 見続けていた私はフッと意識が途切れかかった。 フラッシュバックで、ヌメヌメする蛇が……頭によぎった。 あれは……。 「おいっ!堀井っ!」 郡司部長が私の頬をぴたぴたと叩く。 一瞬、記憶が飛んだみたいだ。 抱き抱えられている。 顔面アップでのぞきこまれて。 「きゃああああ」 私は別の意味での悲鳴をあげた。 郡司部長の腕のなかで暴れて、そして2人で仲良く川のなかにボッチャ~ン!と倒れた。
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