新しい生活

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「彼氏と、結婚前提に同棲してたんですけど。追い出されちゃって……」 「追い…出された……?」 「前に私、カミングアウトするって言ってたじゃないですか。受け入れてもらえませんでした」 「!!!」 柏木くんとのこと話したんだ! 「粘ったんですけど……。なんか…どうしても許せないっぽくて」 そりゃあ…他の男性に心移りしたら…ねえ。 「ほ、他に一緒に住む人はいないの?」 「他に……って?」 か、柏木くんとか。 「私…友達いないんです。全員切ったから」 「切った?!」 「はい。私の過去を知る人は全員…」 なにそれ! 過去って…美玲ちゃんの過去にいったい何があったの…? 「ホリカヨさんさえよければ、こういう部屋、家賃折半して住めますよ?」 パソコンに指を差された部屋は、私がひと目見て気にいったマンションだ。 エアコン、ウォシュレット、浴室乾燥機、オートロックなどのセキュリティも完備。 都心にあって駅近で、マンション上層階なのが良い。 夜に星とか見れちゃうかもなぁって。 あ、東京タワーもうっすら見えるかも! 家賃が高くて絶対無理だと思っていた。 でも、2人で割ると……いけるかもしれない…。 「私、ホリカヨさんのこと全然気にしませんし。ホリカヨさんも私に気を使わなくて全然いいですから」 ……そういわれると、さらに迷う。 「18から東京に出てきて、1人暮らし歴もまあまあ長いんでいろいろアドバイスもできますよ」 「よし、乗った!」 「え」 「一緒に住もう。美玲ちゃん」 いきなりの1人暮らしは正直ちょっと怖かった。 でも経験豊かな美玲ちゃんとだったら……。 「はい、じゃあさっそく。今週末には決めましょうか」 「今週末?」 「はい。いまマンガ喫茶に寝泊まりしてるんで、早く引っ越したいです」 ……!! 本当にあなたってなんなの。 美玲ちゃーん!!
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