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「全然。柏木さんのこと好きでもなんでもないですよ」
「でも、柏木くんは社内に好きな人がいるって……」
「ホリカヨさんのことじゃないですかぁ?」
「まさか!」
「……じゃあ、思いあたらないなぁ」
ウーンと考える仕草をして、美玲ちゃんは言った。
「美玲ちゃんは、柏木くんから誘われたことはないの?」
「まったく。興味も、ないですね」
言いきるぅ~。
でも、この子の正直なところが…裏表がなくて好感がもてる。
「こう見えても、元カレと婚約一歩手前までいってたんですよ。婚約する前にカミングアウトして見事にフラれましたけど。そんなわけで…しばらく彼氏いらないです」
「そうなんだ……」
「それよりも、グンジィとホリカヨさんの応援しますんで!」
美玲ちゃんが力こぶをつくる。
グンジィ?
「まずは美容体操でもしましょうか!」
「へ?」
こうして、美玲ちゃんとのルームシェアが始まった。
しかし言っていたとおり、美玲ちゃんは平日は仕事帰りにロースクールに通い、土日は図書館で勉強する。ほとんど家にいない。
水道光熱費などの生活費を折半するのが申し訳ないくらいだ。
なのでせめてもの償いに、食事を作ってあげることにした。
「ホリカヨさーん。美味しいです」
「喜んでもらえて良かったよ」
「んで、明日の夜はマッサージの日ですよね?」
美玲ちゃんには、水曜日のマッサージのことを話していた。
「うん」
「耳元に息を吹きかけるだけでいいんです。ふぅ、っと」
「……」
「変な奴だと思われないかな?」
「…………。……大丈夫ですよ」
今の間はなに??
「さあ、明日はぶちかましてきちゃってくださいー!」
「う、うん!」
ぶちかます?
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