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トイレに着いて…。
洗面台の栓をして、ためた水に手をひたす。
（もう、本当にやっかいな体だよ…）
カッカする手をどうにかこうにか冷やした。
鏡を見ると、自分の顔が映っていた。
下がり眉の、厚ぼったい二重瞼。ちょっと丸い鼻におちょぼクチ。
身長は155㎝と小柄なのに、体重は平均より高め。
ぽっちゃり体型で、困った表情をしているように見えることから、吠えない小型犬みたいだ。
と言われたことがあったけれど、全然うれしくない。
指もポヨポヨと肉付きがよい。
肉球みたいに。
だいたい、なんで私だけ『ホリカヨ』なの…。
あーあ。ホリカヨでなくて『嘉与子』って甘い声で呼んでくれる男性が現れないかな。
（キャー！それってすごくいい！）
妄想してニヤニヤ興奮する。
洗面台に張った水から、じゅわっと湯気があがった。
「ギャー！！」
今度はリアルに叫んだ。
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