【吐露】家族

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 令和二年十一月二十三日、ずっと前から思っていた。幼い頃からずっと。  私は家族が嫌いだ、家に帰りたく無い。成長するに連れ、その思いは大きくなっていった。  家族とは、世界中の誰よりも互いを理解し合い、励まし合うものだと思っていた。束縛し合わなくても、心の奥では強い絆で結ばれている、、、そういう存在だと思っていた。  然し、そういう関係になれそうだと思える人との出会いは、今まで、家の外でしか無かった。だけれどそういう出会いも、そう多くはない。だからだろうか、そういう人に出会うと、すぐに仲良くなりたくてたまらなくなる。私は束縛するのもされるのもあまり好きではないが、中々ない出逢いだから、チャンスを逃すまいと焦ってしまうのかもしれない。  家にいて優しい、嬉しいと思うことは、もちろんある。あるけれど、家にいると本当に、独りな気がしてならない。放って置かれている訳ではない、相手にされない訳でも無い、だけれどなんだか、居心地が悪い。家の中で素になれるのは、自分の部屋だけ。家族の前ではいつも何かしら、繕っている。私が涙を流して真剣に悩みを相談しても、家では「可愛いね」と笑われるか、軽く流されるだけで有る。きっと、部屋で一人泣いている事も、家族は知らない。私はそんな対応を受けている内に、どんどん家族が恐くなっていった。それからたまに、「このまま消えてもバレやしないだろう」と思えてくる様になった。ただでさえ独りなのに、家の中でも一人だなんて、、、苦しくてならない。家が嫌いだ、帰りたくない____たとえ怒られてばかりでも、学校の方が好きだ。  家よりも、外の方が、本当の自分で居られるし、楽しいし、過ごしやすいし、刺激がある。  もう家には、帰りたくない。
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