死が突いた血

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学校の人たちはもう知ってると思いますが、まさとくんはぼくと遊んでくれます。いっしょにサッカーをしたりして遊びます。とちゅうまで帰り道もいっしょです。 いつも色んな人と遊んだりしてるまさとくんは学年の人気者だと思います。ぼくとちがって、うんどうはできるし、頭も良いです。ぼくはそんな人と友だちになれてすごくうれしいです。 学校から帰ってるとき、ぼくはまさとくんがよくやる石をけりながら帰るゲームをやっています。ぼくはそのゲームが下手なので、一人で帰るときにれんしゅうします。とちゅうで急なかいだんがあったりしてたいへんですが、まえより上手くなりました。でもやっぱり下手で、その日は石がしげみのおくの方にいってしまいました。けった石をさがしてると、しげみの中に、よごれたハッポースチロールがありました。なんだろうと思って中を見てみると子ネコがいました。そのときはじめてテレビいがいで子ネコを見ました。さわってみたかったですが、お父さんからノラ猫はさわらないと言われてるので見るだけにしました。子ネコのなき声はぼくがおもったより高い声でした。こっちを見ながらゴロゴロころがったり、のびをしたりしてました。とってもかわいかったです。夕方になるまで見てました。 お父さんにこのことを言いたくなりました。その日の夜ご飯にはパックのおみそしるじゃなくて、お母さんがおしえてくれたおみそしるを作ってお父さんを待つことにしました。お父さんはお母さんがいなくなってからずっとおしごとをがんばってます。だからいつ帰ってくるかわかりません。でも、どうしてもお父さんに言いたかったので、おみそしるを作りながら待ちました。 お母さんにおみそしるをおそわったときのことはよくおぼえてます。よこに立ってたお母さんはよく「火に気をつけて」と言ってたし、作ってるときにおみそのにおいとお母さんのにおいがしてなんだかふしぎでした。おみそしるができたので飲みながらお父さんを待ちました。お母さんが作ってくれたやつの方がおいしいなと思いながら待ってましたが、その日はお父さんは帰ってきませんでした。
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