死が突いた血

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家に帰ると雨がふってきました。せんたくものをいそいでとりこんでからお母さんにおそわったたたみ方でたたんでいると、こんどはカミナリがなって、つよい風がふいてきました。ぼくはそんなにカミナリが好きじゃないので、おふろに入ってすぐにじぶんのへやのふとんで小さくなりました。 いつのまにかねていて。おきたのは、11時50分ぐらいでした。お父さんがげんかんのまえでかさをバサバサする音で目がさめました。ドアをバタンとしめてお父さんが家に入りました。 ぼくはお父さんに「おかえりなさい」と言うと、お父さんは「うん」とひくい声を出しました。雨でぬれたせいでクツがぬぎにくいみたいで、お父さんは「ち」としたうちすると、思いっきりクツをぬぎました。かさたてにこわれたかさがあったので、「かさはどうしたの」と言うと「かぜでこわれたんだよ」と言いました。お父さんの顔は赤くなってました。「どいて」と言いながらぼくを手でおすとそのままおふろにいきました。少しおさけのにおいがしました。おふろのドアのまえでお父さんに「ごはんは?」と言うと、「食ってきた」と言いました。「かさはどうするの?」と聞くと「いつかすてる」と言ってそのままおふろに入りました。 次の日も雨はふってました。学校につくとひとみちゃんに「ネコたちだいじょうぶかな」と言われました。学校に行く時はネコのようすはみてなかったので「どうだろう?」と言うしかありませんでした。「帰りにまた見にいこう」と言われたので、「うん」と言いました。 二人で急いでネコのようすを見に行きました。しげみは雨でぬれてつめたかったです。親ネコと子ネコはハッポースチロールの中にいました。ビショビショじゃなかったけど、少しぬれていました。「かわいそう」とひとみちゃんが小さく言って、ぼくの方を見ました。ぼくは「ちょっと待ってて」と言って急いで家に帰りました。かさたてを見るとお父さんのこわれたかさがあったのでそれをネコのところに持って行ってかぶせました。ひとみちゃんは「いいの?そのかさ」と言ったので「お父さんがいつかすてるやつって言ってたからダイジョブだよ」と答えました。ホッとしたひとみちゃんはネコにむかって「よかったね。かさのほねにきおつけてね」といって笑顔になりました。そのあと「じゅんぺいくん、ありがとね」と言ってひとみちゃんとバイバイしました。ぼくもあんしんしました。
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