死が突いた血

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学校に行くとみんなぼくのことをジロジロ見てました。いやな気持ちでしたが、でもしょうがないと思います。うんどう会はぼくのせいで負けたからです。みんなにあやまりたかったですが、どうやってみんなにあやまればいいか分からなかったです。まさとくんにそのことを話しましたが、まさとくんは「気にすんな」と言ってくれました。でもその日かん字のテストがかえってきて、50点をとったのはぼくだけでした。みんながクスクスしてました。でもこれもしょうがないと思いました。 帰り道をあるいてるとひとみちゃんが話しかけてくれました。いつものように、いっしょに見に行っていいか聞いてきたので、「いいよ」と答えしました。つぎにひとみちゃんは「うんどう会のことだいじょうぶ?」と聞いてきました。本当はだいじょうぶじゃなかったです。でも、だいじょうぶって言うとウソなのでお母さんとのやくそくをやぶってしまいます。なので、だいじょうぶとは言えずにだまってしまいました。そのあとは何も言わずにしげみの中に二人で入りました。さいしょに見た時より子ネコは少し大きくなったけど、あいかわらずかわいかったです。それにいつものようにぼくの足にちかづいてスリスリしてきました。その時なぜか、頭の中にお母さんの声が聞こえてきました。それは、「だれかをしあわせにするウソならついていいからね」という声でした。 これはさいしょの方に書いたやくそくの言葉のつづきでした。ぼくがその時に泣きながらお母さんの言葉を聞いてたからわすれてたのかもしれません。その時思い出しました。なので、ひとみちゃんにさっきのことを大丈夫と言うと、ひとみちゃんは「やっと笑ってくれた」と笑顔で言ってくれました。
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