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やり直し ※
二人きりで過ごす久しぶりの誕生日。
用意したロールキャベツとチョコレートケーキはしっかりと俊のお腹の中へと収められた。
お洒落なペアのグラスにシャンパンを入れて乾杯し、食後はルームキャンドルを照らした室内で映画を観た。
二人並んでソファに座り、一つのブランケットに包まれる。
食後の満腹感と暖かさも相まって私は少し眠くなり、俊の肩にもたれかかった。
俊はそんな私をチラと見て、安心したように微笑みながら頭を撫でる。
こんな日が、再び訪れるなんて。
若い頃のような刺激に溢れた恋もいい思い出だった。
だけど今のこの落ち着いた関係も悪くはないだろう。
「な、なあ葵……」
「ん?」
「悪いんだけど、少し離れてくれ……」
「なんで? 重たい?」
「いや、そういうわけじゃ……」
俊は珍しくゴニョゴニョと歯切れの悪い様子。
「何? 言ってくれないとわかんない」
「……そんなにくっつかれると、俺の理性が限界になる」
「え……」
思いもよらぬ彼の返答に、私は一瞬言葉を失った。
「いや、今のは忘れろ。忘れてくれっ……」
「俊はしたいの?」
「……そりゃ、したいよ。好きな女が隣にいてそう思わない方がおかしいだろ。でも葵とは色々あったし、葵の気持ちに踏ん切りがついた時でいいから……って葵!?」
気付けば私は俊の頬に両手をやるようにして、自らキスをしていた。
「……葵、それどういう意味かわかってんの?」
「わかってる。私も俊としたい」
「まじかよ……もうやめられないからな……」
そのまま私たちは何度もキスを繰り返した。
「んっ……俊……」
「葵……好き、好きだ……」
最初は恐る恐る重ね合わせるだけのキスから始まり、やがては互いの舌を絡め取るような深いものへ。
「葵、ベッド行く?」
薄らと顔を赤らめた俊に尋ねられた私は、同じように顔を赤くして頷く。
すると俊は私をブランケットごと横抱きにして、寝室へと足を進めた。
「いや、恥ずかしい。自分で歩けるのに」
「いいから、黙ってろって」
俊は寝室へ入ると私をベッドにゆっくりと降ろした。
そして私の髪を愛おしそうに触ると耳にかけ、そのままベッドに押し倒すようにしてそっと自らの体重をかける。
ギシ……と音を立てたベッドがこれから始まる行為を連想させて、私は恥ずかしくなった。
「葵、いい?」
熱を帯びた俊の瞳に、彼も一人の男なのだということを実感させられる。
「うん」
了承を得たことを確認すると、俊は私の首元に顔を埋めた。
そしてちゅ、ちゅ、と首筋を吸い上げるようにして愛撫する。
久しぶりのその感覚に私は早くもおかしくなりそうだ。
「あっ……んっ……」
「葵、もっと声聞かせて」
俊も既に息が荒くなっており、この行為に興奮してくれていることがわかる。
そのまま彼の唇は鎖骨を通りながら下へと向かっていき、胸に到達した。
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