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そうだ!!
僕はいきなり名案が浮かんだ。
親に内緒に猫を本当に飼うのはどうだろうか?
というより、街を彷徨いている野良猫を1匹餌付けして一時的でも僕のものにしてしまおう!!という手前味噌な大作戦だ。
ようし!!今からこの作戦を実行・・・
って待てよ!!
これって・・・
親が嫌がっている、野良猫の餌やり行為ではないか?
野良猫に餌やりやったらどうなるか?
外猫が増える?糞尿被害が深刻化する?
そんな事今は構ってられないのだ!!
今は、僕の友達との信頼関係を守るのが大切なんだ!!
その為にも、何とか一匹でも餌付けして僕のものにしなくては!!
しかしだな。
このシチュエーションに限って一匹もこの家の前の通りに、野良猫はほっつき歩いてないのだ。
まじかよ?!僕の思惑が既に野良猫達に知れ渡ってる?!
まさかな・・・?
ん?
僕は、向こうから今にもフラフラと倒れそうなみすぼらしい野良猫が歩いているのを見付け、透かさず手に持った『ちゅーる』を野良猫の前に立ち塞がって掲げた。
すると、野良猫は僕の持った『ちゅーる』に、鼻水だらけの鼻を突き出してクンカクンカと匂いを嗅ぐと美味しい匂いだと解ったとたん、いきなりペロペロペロペロと『ちゅーる』を舐めまくった。
してやったり!!
僕はそう思うと、『ちゅーる』を持ったまま野良猫を僕の家の中に誘導して、僕の部屋に連れて行こうとしずしずと後退りした。
もう少し、そろそろ。もう少し、
よし!僕の家の中に野良猫を誘導したぞ、
野良猫さん、その調子!!
さあ、ようこそいらっしゃい!!僕の家に・・・
「慎也!何してるの!!」
後ろを振り向くと、そこには怒り心頭のお母さんが仁王立ちして家の玄関に立ち塞がっていたのだ!!
終わった・・・
せっかく誘導した野良猫は、お母さんが「シッシッ!!」と追っ払ってしまった。
その夜、両親に僕はこっぴどく説教された。
ごめんなさい!!もう野良猫の餌やりはしません!!・・・って・・・
口先では謝っても、今度こそ明日こそ野良猫を僕のものにしないと!!
友達の信頼関係が!!
ジリジリジリジリ!!
「慎也!!友達から電話!!」
もしもし・・・えっ?!明日家に来るって!?
早速飼ってる猫を見せてくれって!?
さあ、どうしよう!!
しかも明日はエイプリルフール。4月1日。
やっぱり嘘をついた事をバラすにも持って来いの日じゃないか?!
皮肉だ・・・明日僕の友情は終わる・・・!!
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