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僕は独り。迷うときも、悲しいときも、嬉しいときも。ああ僕は、人間でもない。動物でもない。植物でも微生物でもない。ただ、独り。何にも属さない。
樹の下でセッセと働く蟻に、声を掛ける。「蟻さんよう、君は偉い。女王の為に、真面目に宿命を果たして消えて行く。」蟻は落ち葉を巣穴に入れようと、色々な所から葉を押し込んでいる。僕は又、話し掛ける。「でもつまらなく無いかい、決まった生き方をするなんて。」僕は立ち上がった。
空を見上げれば、眩しい光が僕を刺す。心の奥、深くまで。僕はその場に崩れ落ちて、心臓を掴んで悶え苦しんだ。目の前がぼやけて、頭がフラフラする。今にも気を失いそうだ。心からは血と涙が溢れ出し、どんどん真っ赤に溺れて行く。__心の中で。でも外から見たら普通だ。実際には心臓なんて掴んでいないし、涙など一滴も流していない。それに、しっかりとした足取りで歩いている。ただの無表情な男にしか見えない。
この世界には何故、太陽が有るのか。光が有るのか。輝きというものが、、、ああ!僕にはこの世界が苦しい。もっと落としてくれ、明かりを、灯火を、、、、、、。
暗闇ってさ、そそられるんだよ。ただただ、世界が広がっている。ほら、見てごらん、ああ、なんと美しい。黒い黒い雲が雨をザーザーと降らせ、僕をびしょびしょに濡らす!僕の髪はシンナリと萎れ、衣(ふく)はグシャグシャになるほど喜んでいる。ああまるで、僕の心の中のように美しい。
これが、これこそが!僕の求める輝(ひかり)なのだ!
独り、僕は闇を唱う。
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