四月一日に手折った蕾
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「そうだ、それがいい。
蕾
(
つぼみ
)
が
花開
(
はなひら
)
いてしまう前に、取り返しのつかないことになる前に
摘
(
つ
)
み取ってしまおう」 そうして心の中で成長した恋の
蕾
(
つぼみ
)
を、
四月朔日
(
わたぬき
)
は握りつぶして
手折
(
たお
)
った。
皮肉
(
ひにく
)
にも、四月朔日自身の名前と同じ、
四月
(
しがつ
)
一日
(
ついたち
)
のことで。
名
(
な
)
は
体
(
てい
)
をあらわす、とはこのことかと、自身の名前である「
蕾毅
(
らいき
)
」の文字を見て
嘲笑
(
ちょうしょう
)
した。
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