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流木のオブジェ、地元の子供が描いたキンメ電車の塗り絵とカラー魚拓。座席にはキンメ鯛のイラスト。
海側の座席はソファータイプで窓に向かい並んでいて遊び心満載だった。
全部で七両あるため駆け足で車両ごとの展示を一通り見終え、パノラマシートに腰掛けると外をぼんやり眺める。
「二号車の下田のPRが良くてもっかい行きたくなったわ……金目鯛バーガー食べたかったなぁ」
「お前は漬け丼二杯と桜の分のキンメコロッケも食ったんだから充分だろ。俺は三号車のキンメミュージアムが良かったな。なんかキンメと静岡の歴史とか詳しくなった気がするし」
「昔はぎんでいって呼ばれて庶民の味だったんだっけ」
「そんなの書いてあったっけ?」
おい……。
「お、おかしいな。さっきまでは覚えてたんだけど」
それ覚えてないやつの科白だろ、と私が溜息をつくと、疲れていたのかパノラマ席に座ってすぐに潰れてしまった星宮の頭が私の肩に乗った。
「あ……ごめん」
「別にいいよ。わざとじゃないだろうし」
いつもより数倍テンションの高い白雪たちの相手を半日もしてたら疲れるのも無理はない。
たぶん私も潰れると思う。それよりこの微妙な空気をどうするか思案していると紬が。
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