プロローグ

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「あれ、ちょっとおかしくないか。河津に着くまであまりにも遅すぎる。たしか蓮台寺、稲梓(いなずさ)、河津で三駅先だったと思うんだけど……もしかして乗る電車間違えたとか?」 「いや、下田始発に乗ったんだから間違いようがないでしょ」 「だ、だよね……お腹空いたなぁ」  時刻表アプリによると乗車した伊豆急下田から旅館のある河津まで十分ほどで着くはずなのだが、河津どころか蓮台寺に着く気配すらない。  疲れてると時間の流れが遅く感じるよなと思ってスマホの時刻を見ると18:30。実際私がキンメ電車に乗ってから軽く三時間は経っていた。 「ん? 桜のスマホなんか変じゃない?」 「へ……どこが?」 「ほら、時刻表示が変だって。乗ってから流石に三時間も経ってないでしょ……たぶん」 「それは……たしかに。じゃあ今何時か教えてくれない?」 「おけ」  白雪に渡されたスマホの画面には拾伍と表示されていた。 「いや、白雪……お前のスマホもだいぶおかしくなってるよ。乗車時刻から全く変わってないのもだいぶおかしい気はするけど……まあいいや。けど、流石に時刻がアラビア数字じゃなくて旧漢字表記になってるのは異常だろ」  気味悪げにスマホを見ながら、白雪は二人に問いかけた。 「えっと……二人のスマホはどんな感じ?」
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