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「俺のはGPSがイカれてる。なんか村にいることになってるけど、旧字なのか反転文字なのか全然分からない字になってて分からない。星宮はどう?」
「鰄と同じでGPSは文字化けしてて使えない。あと、検索とかアプリ……コミュニケーション取れるソシャゲとかも出来なくなってる」
「ソシャゲもかよ」
「それと、さっき三号車の写真撮ったんだけど……こんなことになってる」
そう言い星宮が見せてきた画像には金目鯛の姿は一切なく、代わりに全体が赤くぼやけていた。
薄くペンキを塗ったような赤の靄をしばらく眺めていると、途端にものすごい睡魔に襲われた。
「うへぇ……なんか気持ち悪いな。それに似たようなのどっかで見たような」
その赤い写真にどこか嫌な既視感を覚えつつも、絶えず襲いくる睡魔には勝てずうつらうつらとしていた。
「ねえ、星宮。河津に着けたら起こしてくれない?」
「ごめん、正直俺も限界だわ。なんか瞼が凄え重い。てか、あいつらゲームして二徹したとかよく聞くし二人に頼んだら?」
「そ、そうだね……」
時間にそもそもルーズな白雪と既に船を漕ぎかけている紬。
この二人に任せるとか正直気が気でないが、私はこの異様な眠気に抗うのを辞め、静かに微睡みへと沈んでいった。
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