プロローグ

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 まだ肌寒さを感じる三月初旬、私は友人の白雪に誘われ三泊四日の伊豆観光に来ていた。  なんでも旅館の予約をした白雪が当然私も着いてくるものだと、友人と私を含めた四人分の予約を入れてしまったらしい。 「キャンセル料を払うくらいなら旅費を折半する」という白雪の甘言に釣られた私は、そのやりとりをした三日後の十五時ちょい前。桜たいやきを片手に伊豆急下田のホームにいた。 「へー、これがキンメ電車か……なんかキンメ推しが凄いな。ロゴのOもキンメの目になってるし」  赤を基調とした車両に施されたシルバーグレーのグラデーションが、伊豆の特産である金目鯛を彷彿とさせる。 「ほんと、内装が豪華っていうかいつも乗ってる電車と全然違うんだけど。これに普通料金で乗れるなんて信じれないわ」 「それな。これを見ると水族館行きたくなる。下田に水族館あるみたいだし今から行っちゃ駄目……だよな」 「まぁ、元々明日行く予定だったしあと半日の辛抱だよ。それより夕飯が楽しみだな……今日泊まる旅館食べログでも結構評判良かったし」  そう言い白雪を諭してるのか食い意地が張ってるのか、よく分からない紬を無視し、私は内装を見ていた。
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