嵐直撃、頑張れ風紀

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「ごちそうさまでした〜」 やっぱりお腹は空いてたみたいで、大盛りご飯もぺろりと消えた。 いつも以上にツンツンしてたしのぶんもすっかりご満悦。 今は最後にとっておいたらしい唐揚げをほおばって幸せそうにしてる。 写真を撮ろうとスマホを構えたら気付かれて、睨まれちゃった。 「盗撮は立派な犯罪です」 「人聞き悪いな!かわいい後輩を後世に残したかっただけだって」 別に掲示板に載せたり、売ったりするわけじゃないし。 ただ俺の秘蔵アルバムが充実するってだけ。 「委員長って食べるの速いですよね。ちゃんと噛んでますか?」 「丼ものってほとんど飲み物みたいなとこあるよね…って冗談だから引かないで!」 「大盛りだったご飯が一瞬で消えましたもんね」 「一口が大きいんだよ!やっぱり学食はおいしい」 普段はあんまり来ないから余計にね。 またしばらくはゼリー飲料とモン◯ターに頼る生活になりそうだし、食いだめたい気持ちもある。 「菓子パンでも常備するべきでしょうか」 俺のズボラな考えはお見通しらしい。 実はエスパーだったり? 「顔に書いてありますし、これだけ長く見てれば行動パターンも読めてきますよ」 ジト目から一転、ふふんって得意げな顔された。 ほんとに頼りになる副委員長サマですこと。 「俺はお前の考えが分からねぇよ」 真後ろからわざと低められた声を耳元で囁かれ、ぞわりと寒気が走る。 顔を上げれば緋色の男が愉快そうに笑っていた。 「かいちょーじゃん。生徒会もてんてこ舞いだって聞いてたけど、もしやサボリ?」 「残念だったな。俺の分の仕事はもう終わってる。お前の方こそ、いつもは風紀室に引きこもってるクセにどういう風の吹き回しだ?」 「俺たちは息抜きにきたんですよ。邪魔しないでください」 「そんな邪険にすんなよシノブ。気配には聡いコイツが声をかけるまで俺の存在に気付けなかった。相当参ってるみたいだな」 いつのまにか周りは静まりかえり、こちらの様子を伺っていた。 賑やかな食堂の異様な沈黙も、かいちょーが入って来たときに必ず起きただろう歓声も耳に入らなかったのはさすがにやばい。 「言わせてもらいますが、あの転入生に生徒会役員が関わっていなければここまで大きな騒ぎにはなりませんでしたよ」 「それは耳に痛い話だな」 最近は自室に帰ってもシャワー浴びて着替えるだけみたいな生活だったし、仮眠室に行くのもめんどくさくてパソコンを枕代わりに机で寝てたし… 「他人事みたいに言わないでください。一応あいつらの上司でしょう」 「そうは言われてもな。上司だからって恋愛事まで指図したくはねぇよ」 お昼食べてひと段落した後って眠くなるし… お昼寝したってだけで幸福値爆上がりだし… 「よし、一旦お昼寝しようかしのぶん」
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