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俺は家に帰ってから、すぐ風呂に入ることにした。おっさんから受け取った荷物を開けるのは、もう明日にしよう。
着替えて髪をタオルでがしがしと拭きながら、もう片方の手でスマホを握り、あらためて彼女からのメッセージを遡ることにした。
不在着信、不在着信、キャンセル、不在着信、不在着信、不在着信…だいぶスクロールして、業務連絡みたいなやりとりとか、今どこ、とか、思い出そうにも思い出すヒントすらないメッセージの応酬だった。
本当に付き合っていたのだか疑わしいレベルだ。
そんなに「いて当たり前すぎてどーでもよくなってる」関係だっただろうか?
ため息をついて、冷蔵庫を開ける。明るい。何もない。飲み物すらない。からっぽだ。
諦めて水道の水を飲むと、ベッドに横たわった。スマホに充電ケーブル刺すのもめんどい。日頃の疲れが出たのか、眠い。天井を見ているうちに、まぶたを閉じた。
桜、きれいだったな…
何かをきれいだとか思うのは久々だった。
……うん?
桜?
俺は起き上がった。そして、手にしていたスマホにメッセージを打つ。既にブロックされてるかもしれないが、そんなことはこの際、どうでもいい。もう終わってるんだとしても、それでこれ以上失うことは、ないはずだから。
「今まで、ずっとごめん」
「俺が悪かった」
「前に見に行きたいって言ってた桜、見にいかないか」
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