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「ねぇ……」
そしてナイフは深く歩巳の心臓に深く入っていく……。口から血を噴き出す歩巳。目は焦点を合わせることが出来ない。口をパクパクさせるが……言葉が出ない。そのまま床へへたりこむ歩巳。白いタキシードを纏った歩巳の胸元は真っ赤に染まっていく……。
歩巳の目は霞んでいた。意識が徐々に途切れていく。……呼吸は途切れ途切れになっていた。白いタキシードは瞬く間に血で染まる。まるで華開くように……。
ドンドン──ドンドン──
ドアの向こうで慌ただしい音のノックが聞こえた。しかし、すでに屍には赤い華が咲いていた。誓いを果たし華を咲かせた女は妖艶な笑みを浮かべ高揚していた。
〈了〉
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