吉良志津香という女

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 度会と志津香は席を離れ二人きりで話した。 「すみません。吉良さん。こんな時にお辛いとは思うんですが少々お話をお伺いしたくて。当日、穂南さんとお会いしていたのは間違いありませんね?」  「はい、間違いありません。二人でお昼にランチを取りましたから」 「その様ですね。その辺りは裏を取っていますから。その時、特におかしい様子はございませんでしたか?」 「はい。特には気づきませんでした。申し訳ありません。お役に立てなくて。ただあの日だけではなく穂南とは頻繁に会ってましたから、あの日だけじゃなくいつも変わらずでしたから」 「そうですか? ちなみにその時の食事とか……どちらが払われました?」 「──えっ? どちらがですか?」 「はい。支払いですよね。支払いは……」 「もしかして、吉良さんがお支払を?」 「何故ですか?」 「いや、もしかしてそうなのかなと思っただけですよ」  しばらく間が開いた。 「はい。私が支払いましたよ。特に最近はいつも私が誘ってましたから」 「そうですか……」 「何かあるんですか? こんなこと普通聞かないですよね?」  志津香は鋭く大きな黒い目で度会を見た。 「えぇ……もしかして吉井さんはお金に困っていたとか……」 「お金ですか?」  志津香は考えた。 「いえ、そんな素振りは見せてなかったですけど。支払いをしてたのもこちらがいつも誘うから申し訳ないと思って支払ってただけですから」 「そうなんですね。分かりました。お辛い時にお時間取らせて申し訳ありませんでした」  度会は席を立ち一礼して離れた。 ──やっぱりお金に困っていたのか? でも食事代くらいは……やはり遺書通りなのか……自殺で間違いないのか……?──
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